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病気と向き合う方をサポートしたいブログです

闘病する人の「生きること」を捉える(その2) ― 叶えたい未来とソーシャルサポート ―

こんにちは、ジョニージョニーです。今回の記事は、前々回の補足です。病い・障害・高齢と向き合う方の「生きること」を捉える枠組み、ICF国際生活機能分類。そのICFの生活機能モデルを、当事者の希望や目標の実現に向けて、いかに活用するかという記事内容になっています。

具体的には、叶えたい未来を考えるヒント、また、希望を実現するためのリソース、ソーシャルサポートについて理解を深めます。

お読みになると「私を支援してくれる人やサポート、こんなにいっぱいあるんだ!なんか心強いな」と気づいていただけるかと。そして何よりも、あなた自身の中にある「強み」に気づかれるでしょう。

《注》リソースとは…… ここでは社会資源のことを意味します。具体的には、人の支援に関わる(公的・民間)機関や制度、サービスなどを指します。また、家族や近隣住民、ボランティアといった人たちも含まれます。

それでは。

 

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  もくじ

 

前々回やったICF国際生活機能分類)の復習

ICFは、人間の生活機能と障害の分類法として、2001年5月、世界保健機関(WHO)において採択されました。これまでのICIDHがマイナス面を分類するという考え方が中心であったのに対して、ICF生活機能というプラス面から見るように視点を転換しました。

ICFの目的を一言で言えば、「生きることの全体像を示す共通言語」です。生きることの全体像を示す「生活機能モデル」を共通の考え方として、様々な専門分野や異なった立場の人々の間の共通理解に役立つことを目指しています。例えば、健康に関する状況、健康に影響する因子を深く理解するために。

下記に記した生活機能モデルの図にあるように、心身機能・身体構造活動参加生活機能レベルと、健康状態・環境因子・個人因子のすべての要素は、それぞれに独立していると同時に、それぞれが相互に影響し合っています。

言いかえるとICFは、生命レベル、生活レベル、人生レベルという3つのレベルで、人が生きるということを捉える総合的な枠組みです。

 そして、主に専門職が利用するICFの生活機能モデルを、当事者である患者、障害者、高齢者が自ら活用し、希望や目標の明確化、またそれらの実現に役立てることが、当記事の意図するところです。もちろん、専門職レベルでの利用は、さらに深い知識が求められるため、生活機能モデルの図など、基本的な枠組みの範囲内での活用です。

 

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dai7place.hatenablog.com

 

 今回の記事では特に、生活機能モデルの「個人因子」と「環境因子」に焦点を当てます。支援を受ける側の当事者として、この二つの背景因子をどのように考えたら良いのか。環境因子と個人因子に関わる、あらかじめ知っておくと便利な知識を得ます。また、目標となる叶えたい未来を、いかに導き出すかについても考えます。

 

叶えたい未来を明らかにする 

ラクルクエスチョン

ラクルクエスチョンとは、解決志向の心理学として知られるソリューション・フォーカスの質問技法のひとつです。以下のような問いを用います。

「今晩あなたが眠っている間に、奇跡がおこったと想像してください。奇跡とは、あなたが抱えている問題がすべて解決してしまうということです。ただ、あなたはぐっすり眠っていたために、問題が解決していることに気が付きません。翌朝、あなたはどのような違いがあることで、奇跡が起こって問題が解決したことが分かるでしょうか」

 

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■ 上記の問いからラクルな未来像をつくり出します。そんなのありえないとか、私の病状や障害からはムダなこと、と初めから諦めないでください。何ら制限を設けないのが、ミラクルクエスチョンです。自由に、思いのままにイメージしましょう。奇蹟のシチュエーションを思い描けるなら、きっとワクワクを感じて、モチベーションが上がってきます。時に、大きな気づきさえ得られことでしょう。その気づきは達成に向けてのブースターともなります。

■ ミラクルな未来像を作りながらも、すでに現状においてできている、やれていることもあると気がついたり、また過去においてうまくやれた事もあったなどと、プラスの要素が思い浮かぶ事もあります。そうした気づきを、ラクル作りのヒントとして活用してみましょう!

■ 次にやることは、実現可能性を考慮した目標設定です。つまり、ミラクルな未来像と現状の間に、中間的な目標を作ります。ステップを幾つか踏むならきっと得られる、明確なゴールを思い描きましょう

その場合のコツは、あなたのストレングス(強み)を明らかにすることです!

 

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ストレングスを明らかにする

ストレングスとは直訳すると、「強さ」や「力」という意味になります。但しここでは、元々あなた自身が持つ強みのことを指します。そのストレングスをうまく使うなら、希望や夢の実現、目標や課題を達成しやすいという訳です。

では、ストレングスにはどのようなものがあるのでしょう。

以下をご覧ください。

個人の性質・性格

本人の人柄や個性

例)おだやか、真面目、聞き上手 など

才能・技能

本人の才能や経験からの技能

例)計算が早い、料理がうまい など

関心・願望

関心を示すもの、強く望むもの

例)旅行に行きたい、カフェをやりたい など

環境

本人を取り巻く外的要因

例)家族との関係が良好、ウェブで遠くの友人とも交流 など

※この中で特に、「関心・願望」は最も重要であり、この関心・願望が希望の実現、目標の達成に向けて大切な要素となります。

 

どうですか?自由に、思いのままにミラクルな未来像を描けましたか?またストレングスを活かし、実現可能性にも配慮した中間目標が作れましたでしょうか。

ストレングスは、ICFの生活機能モデルでいうところの「個人因子」になります。

 

叶えたい未来を実現するために欲しいサポート『ソーシャル・サポート』

 叶えたい未来、実現したい目標に向けてのリソースのひとつにストレングスがありました。それは個人因子に関わるリソースです。今度は、目標達成に役立つリソースでも、外的資源となるソーシャルサポートについて考えます。

ソーシャルサポートは、ICFの生活機能モデルの「環境因子」になります。

 

以下にソーシャルサポート(受けて側の視点から)を記載します。

ソーシャルサポート(外的資源)6項目

自己評価サポートを受ける

自分の能力・社会的価値・仕事での能力に疑いをもった時に有効に働く。

自分がマイナスに考えていた自己像の側面を打ち明けることで、自分の評価を再度高めることができる。

例)・家族や友人、カウンセラーや相談員などに話を共感的に聴いてもらう。

■ 地位のサポートを受ける

自分が何らかの役割を果たしていることで得られるサポート

例)家庭、職場、地域などで相応しい役割が与えられ、その仲間・組織から認めてもらう。

情報のサポートを受ける

問題の本質、問題に関係している資源に関する知識、代替的な行動に至る道筋に関する情報が得られること。

例)情報ネットワークを持っている支援者から、自身のニーズに見合った情報を受け取れること。

例)医療相談員から、高額療養費制度の説明を受ける。

 ■ 道具的サポートを受ける

実際的な課題に対する援助の提供を受ける。

例)社協の職員から、生活に必要な宿泊施設の提供と資金の貸し付けを受ける。

社会的コンパニオン

共にいる、出かけるなどの社会活動のサポートを受ける。

例)がんサロンのピアサポーターから、その方ならではの経験談を聞く。

 ■ モチベーションのサポート

根気よく何かを継続したり、解決に向かって進んで行けるように、モチベーションを高めるサポートを受ける。

例)友人から心からの励ましを受ける。医師から、これまでの努力の成果から「このまま続けていけるなら、検査数値はもっと良くなります」と保証を受ける。

 

《注》ソーシャルサポートに関わる人たち・組織・集団 … 配偶者、親、子ども、兄弟、孫、祖父母、親戚、親友、友人、先輩、同僚、先生、上司、近所の人、サークルなどの趣味の仲間、支援団体(病院・施設・行政・NPOなど)の役割を持つ集団のメンバーなどがあります。

 

 ソーシャルサポートは、ICFの生活機能モデルでいうところの「環境因子」となります。上記に解説したソーシャルサポートと「個人因子」のストレングス(強み)をうまく使いながら、「参加」「活動」に対するプラス因子(促進因子)としての活用が大切です。どのように働かせたなら、あなたの希望や目標の実現に向けて歩み始められるか、じっくり思い巡らしましょう。

その際、目標の達成に向けて、家族や友人の協力、また専門職(医療スタッフ、ソーシャルワーカーなど)の支援が必要となることもあります。どんな人に支援を求めたら、目標達成への道が明確になるかも、しっかり考えたいところです。

 

《注》活動とは…… 生活行為、つまり生活上の目的を持ち、一連の動作からなる具体的な行為のこと。(例)歩行、歯磨き、食事、入浴、トイレなどの日常生活行為。また、家事全般、仕事での業務、交通機関の利用、趣味、旅行などの社会生活上の必要な行為。 参加とは…… 人生の様々な状況に関わり、そこで役割を果たすこと。主婦としての役割、職場での役割など。また、趣味に参加する、地域活動に参加する、政治活動に参加するなど様々なものが含まれます。

 

 

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まとめ

今回の記事、いかがでしたでしょうか。ICFの生活機能モデルの「環境因子」「個人因子」にフォーカスをあて、希望の実現に向けて、どのように考えを深めたら良いかのヒントと材料が紹介できたかと思います。専門職の使うICFの理論ですが、基本的な枠組みを使うだけでも、当事者側が新たな一歩を踏み出すためのきっかけ作りに活用できるのではないでしょうか。

今回も最後までご覧くださり、ありがとうございました。

 

【参考文献:上田敏ICFの理解と活用』きょうされん、2005】

【参考文献:渡部律子『高齢者援助における相談面接の理論と実際』医歯薬出版(株)、2011】

【参考サイト:医教コミュニティ つぼみクラブ.(2018.11.30).リカバリとストレングスって?.(https://www.ikyo.jp/commu/question/2018_010).2021.6.24取得】